*Tracktion の場合、オーバーダビングに使用するトラッ レーテンシーについて クの出力をミュートする必要はありません。その代わり、

トラックにインプットを選択し(インプットは赤く強調表 レーテンシーとは、システム内を通過するシグナルが、 示されます)、end-to-endオプションをオフにしてください。 インプットからアウトプットに到着するまでに要する時間 です。具体的には、例えば、ギターの録音をソフトウェア でモニターする際、弦を弾いてからヘッドフォンでサウン ドを確認するまでの時間ということになります。通常、演 奏者はほとんどゼロに近いレーテンシーに慣れています(ギ ターをギターアンプに接続して演奏しても、シグナルの遅 れが気になることはありません)。従ってレコーディング時 にソフトウェア経由でモニタリングを行う場合、違和感が ないようにレーテンシーを可能な限り低く抑えることが望

まれます。

ミキサーの FireWire インプット経由で既存トラックの

レーテンシーは可能な限り小さくしたいのですが、ここ

で考慮すべきなのは、レーテンシーを小さくするほどコン

プレイバックをモニターすると同時に、録音中の現在のト

ピュータに負荷がかかるという点です。レーテンシーを非

ラックを U.420d のヘッドフォンまたはメイン出力でモニ

常に小さくした場合、コンピュータはオーディオを素早く

ターします。テイクを確認する場合も、ミュートを解除す

やり取りするために、とてもハードに働くことになります。

 

る必要はありません。

使用するトラックやオートメーションやプラグインの数が

 

ヒント

多い場合、演算が間に合わなくなることもあります。その

場合、オーディオは「ドロップアウト」(欠落)してしま

 

 

います。特に、演算の遅いコンピュータやメモリが十分で

マイクを使用してレコーディングする場合、録音 ない場合、ドロップアウトの確率は高くなります。 中は大きなメインレベルノブ [36] を絞り、ヘッド

フォンでモニターするようにしてください。

オーバーダビングで録音する場合、U.420d のレーテン

 

シーを動作の可能な限り低く設定するのが重要です。レ

Owner’s Manual

エレクトリックギターやターンテーブルなど「直

接」プラグインするソースをレコーディングする

コーディングソフトウェアで「オーディオインターフェー スのプロパティ」などのページを開き、デバイスやシステ

場合、スピーカーでモニターしても構いません。

マイクを使用しないので、スピーカーのサウンド

ムが許容し、ドロップアウトやディストーション、CPU

が「漏れる」心配はありません。

過負荷が生じない範囲で最も低いレーテンシーを設定して ください。

ダイレクトハードウェアモニタリングの短所

DAW を介したモニタリングに比較して)は、通

バッファは、DAW が使用するメモリ内の 1 つの領域であ

り、サウンドが途切れることのないよう、オーディオを「溜

常、DAW ミキサーのエフェクトを録音トラック

めておく」場所です。バッファサイズはサンプル単位で表

に適用できないことです(ボーカルの録音にリ

現され、バッファが小さいほどオーディオは速くコンピュー

バーブを追加する、直接プラグインしたインス

タを通過し、すなわちレーテンシーは低くなります。シス

トゥルメントにギターアンプシミュレーターを適

テムにもよりますが、64 から 256 サンプルが一般的に低

用するなど)。これに対処するには:

い設定と言えるでしょう。サンプル数が多いほど、レーテ

 

 

コンピュータが許す限り、レーテンシーを低

ンシーの値が高くなります。レーテンシーの値はサンプル

 

く設定し、U.420d ソフトウェアのコンソール

レートにより異なります。下の表をご参照ください:

 

パネルにも同じ値が表示されていることをお

 

 

 

 

 

 

 

確かめください(詳細は 29 ページをご参照

 

サンプル

44.1 kHz

48 kHz

96 kHz

 

 

ください)。

 

64

1.5 ms

1.3 ms

0.7 ms

 

DAW で録音チャンネルのミュートを解除し

 

 

 

 

 

 

 

128

2.9 ms

2.7 ms

1.3 ms

 

 

ます。これにより、ダイレクトハードウェ

 

 

 

 

 

 

 

 

256

5.8 ms

5.3 ms

2.7 ms

 

 

アモニタリングと DAW を介したシグナルの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミックスが聞こえるようになります。

 

 

 

 

 

 

ダイレクトハードウェアモニタリングのソー

音楽的のタイミングを考慮すると、一般的なレーテン

シーの許容範囲は、およそ 3.3 ms 以下となるでしょう。

 

スにミックスされる DAW トラックに、任意

 

 

 

 

 

 

 

 

のエフェクト(リバーブやアンプシミュレー

ライブレコーディングやパフォーマンス時など、レーテ

 

ターなど)を適用します。

ンシーを高く設定しても問題がない場合もあります。ミッ

レーテンシーが十分に低いなら、ダイレクト クスダウンでもプラグインを多用する段階になったら、

シグナルと DAW 経由のシグナルのタイムラ

レーテンシーを高くする方がよいでしょう。

 

グは、あまり気にならないほど小さくなりま

 

す。

 

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Mackie U.420D manual ヒント, 256