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第2 章 技術解説
2.5 セルへのデータ書込み , 読出し■書込み動作
"1" および "0" のデータをセルへ書き込むには , 強誘電体キャパシタの両電極間に , +Vcc もしくは
−Vccの電圧を印加します。図2.7 において , 1T/1C セルでの実際の書込みは , WL(ワード線)を選択状
態(トランジスタをオン状態)にして BL(ビット線)と PL(プレート線)の間に電圧(Vcc)を印
加すれば, 強誘電体キャパシタに電圧が加わり , 所定のデータが書き込まれます。"0"データを書き込
む場合は, BL = 0 V, P L = Vcc に, "1" データの場合は , BL = Vcc, PL = 0 V にします。
書込み後のデータは, 選択ワード線が非選択(トランジスタオフ状態)になっても保持され , 不揮
発性データとなります。
これら二つのデータの状態が「2.4 セルの動作原理」で説明したように印加電圧を取り去っても分
極量が残る残留分極(+Pr, −Pr) の状態を意味します。
■読出し動作
"1"あるいは "0" 状態のデータをセルから読み出すには , WL を選択する前に , まず BL を0 V にプ
リチャージしハイインピーダンス状態に保ちます。その後, WL を選択して PL にVcc を印加し , 強誘
電体に所定の電圧を加えることで読出しが行われます。図 2.7 に示すように , もしセルが "0" データ
を保持していた場合は , 分極反転しない比較的小さな電荷移動 (j0) によって BL がDVL にチャージ
アップされます。他方セルが "1" データを保持していた場合は , 分極反転することにより大きな電荷
移動(j1) が起こり BL がDVH にチャージアップされます。この DVH とDVL の間に設定された基準
電位(Vref) を持つセンス・アンプをBL に接続しておくことにより , Vref より低い電位の DVL はより
低い0 V に, Vref より高い電位の DVH はより高い Vcc まで増幅することができます。
増幅後の強誘電体キャパシタのバイアス状態は, "0" 読出しでは, BL = 0 V, PL = Vcc であるので , Vf
= +Vcc("0" 書込みと同じ状態), "1" 読出しでは, BL = Vcc, PL = Vccであるので 0バイアス (Vf = 0
V) となっています。
■読出し後の再書込み動作
"1"データの読出しの場合においては, 分極反転によりデータは破壊されて, "0"データの状態になっ
ているため, 再び "1" データの書込みを行い , 読出し前の正しいデータに戻しておく必要があります。
"1"データの読出し後には , BL 電位が Vcc になっています。このとき PL 電位を 0 V にすることに
よって , "1" データの再書込みが行われます。その後, WL をオフにすると , 強誘電体キャパシタは 0
バイアスとなり , "1"データを保持し , 元の "1" データに戻ったことになります。"0" データの読出し
では, 分極反転が発生しませんので , データは破壊されず , 読出し後も "0" データを保持しています。