36
7 FRAM グリーン化の取組み
7.1 はじめに
近年, 電子機器のパーソナル化・モバイル化の進展に伴い , 高速動作が可能で消費電力の少ない電
子デバイスが求められるようになりました。
FRAM , メモリセルに強誘電体を用いた不揮発性メモリデバイスです。強誘電体は , 電界が加え
られると分極が生じ, 電界を取り去っても分極を維持する性質を持っています。この強誘電体材料を
用いれば, 記憶保持に電力を消費しないという特長を持つメモリデバイスを作ることができます。ま
, メモリの書換えは強誘電体の分極方向を反転させることで行いますが, 時間はナノセカンド・オー
ダと高速です。
今後は, 従来以上に環境に配慮した製品設計が求められています。このため , 電子機器とそれに使
われる電子デバイスの環境負荷を下げることが重要となってきました。FRAM の不揮発性RAM とし
ての性質を利用すると , バッテリ(乾電池)レス , メンテナンスフリーとすることができ , 環境負荷
の低減を図ることができます。
このようなFRAM の特長を生かすためには , FRAM 自体のグリーン化を進める必要があります。
下に, FRAM 製造時に使われる物質と FRAM デバイスに含まれる物質をとりあげ , FRAM のグリーン
化の取組みについて紹介します。
7.2 富士通の指定有害物質規制の取組み
富士通グループの製造する製品全体に関わる有害物質規制への取組みを紹介します。
富士通グループでは, 有害物質を次の三つのグループに分類して , それらの使用と含有を禁止して
います。FRAM 製品も例外ではなく , 部材の調達 , 製造の各段階で , これらの指定有害物質規制を遵
守しています。遅くとも 2005 年度末までに , 以下の富士通グループの指定有害物質を全廃する計画
です。

含有禁止物質

7.1に製品への含有を 禁止する 27 種類の化学物質を示します。これらは化審法(参考文献 : *1 ,
モントリオール議定書(参考文献 : *2 , EU RoHS 指令(参考文献 : *3)を始めとするする関連指
令に基づくもので, 例えば , ビストリブチルすず(TBTO, CFC(クロロフロロカーボン)類 , ポリ臭
化ビフェニール(PBB)類などがあります。

製造時使用禁止物質(オゾン層破壊物質)

7.2に製造工程で使用を禁止している 7種類の化学物質を示します。これらはモントリオール議
定書に基づいたもので, 例えば CFC , 特定ハロン類などがあります。

含有全廃物質

7.3RoHS 指令に基づいて製品への含有を禁止する 4種類の化学物質を示します。例えばカド
ミウムとその化合物 , 六価クロム化合物などがあります。ただし , 含有全廃物質の除外対象として ,
RoHS指令に準拠した特定の物質と用途が規定されています(表 7.4 参照)。