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4 アプリケーション
4.1 非接触型スマートカードとは?
データの受け渡しを非接触で行えるカードを非接触型スマートカードといいます。
私達の生活の中では, 既に磁気カード(キャッシュカード , クレジットカード , テレフォンカード ,
乗車券など)が日常化されています。さらに , 記憶容量を大容量化し , かつデータの読み書きを可能
にするLSI チップをカードに埋め込んだスマートカードが注目されています。その代表的な応用例が
乗車券と電子マネーです。数年前より世界各地で実証実験が行われ, 既に実用化もされています。ス
マートカードは , 蓄えられる情報の多さと読み書きや多目的に扱えるなどの自由度があり , セキュリ
ティ管理も優れたものとなっています。特にデータの受け渡しを非接触で行う非接触型スマートカー
ドが, 移動しながら使える利便性から注目されてきました。
まず, 情報のやり取りを電気的接点を通して行う接触型カードが , 小銭のハンドリングを排除する
目的で導入されました。電子マネーとよばれるものは , この接触型スマートカードがほとんどです。
しかし, 乗車券目的のカードでは , 現在使用されている磁気式の場合 , リーダ/ライタとの摩擦から改
札ラッチの故障が頻発に起きています。そこでこの問題点を解決するため, 非接触型のスマートカー
ドが登場しました。カー���をかざすだけで改札を通過できるという利用者にとっての利便性が非接触
型スマートカードの登場を促しました。
4.2 電力電送と RF 技術について
スマートカードには電池がありません。そのため, 外部から電源を供給する必要があります。電力
電送の方式は, 大きく分けると接触型と非接触型があります。
接触型スマートカードは , リーダ /ライタから直接 , 金メッキ端子(電気的接点)を通して電力を
得ています。 一方, 非接触型スマートカードは , リーダ/ ライタからの電波をアンテナ(コイル)で受
信し, RF (Radio Frequency) 回路で駆動電圧を得ています。
非接触型には 無線通信方式と光通信方式がありますが, スマートカードには無線通信方式が一般的
であり, 中でも 13.56MHz 帯の電波を使った電磁誘導方式の利用が進んでいます。通信距離が数十cm
に及ぶ方式を利用することもあるため, メモリアクセスについても低電圧かつ低消費電流動作が要求
されます。EEPROMでは , データの書換えを行うために昇圧回路が必要となるばかりでなく , 書換え
にも多くの時間を要しています。FRAM , 非常に書換え時間が早く , 低電圧で動作するため , 低消
費電力動作にも適しています。
また , 強誘電体のコンデンサを内蔵することができるため , 外付けコンデンサを必要とせず , 部品
の���減が可能となり, コストダウンを図ることが可能となります。
通信には, 送信装置から受信装置方向のみの単方向通信方式 , 送信と受信を切り換えて通信を行う
半二重方式 , および同時に双方向の通信を行う全二重方式の 3種類がありますが , 現行はリーダ /
イタTalk first とよばれるリーダ /ライタのリクエストに対して , スマートカードが返答するといった
半二重方式が一般的に使われています。
変調方式については, ASK 変調度 10%, ASK 変調度 100%, BPSK, FSK などの方式が用いられてお
, スマートカードのように限られたサイズで低消費電力に対応した方式となっています。
変調符号には, NRZ, マンチェスタ , モディファイドミラー, Pulse Width, Pulse Position 5種類の
方式が採用されています。