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第2 章 技術解説
2.6 強誘電体の信頼度FRAMのセルに使用している強誘電体材料には , データ保持の信頼性に影響する二つの代表的な特
性があります。
1) データリテンション(保持)特性
データリテンション特性とは, 図2.8 に示すように , 分極量 Qが時間 tの経過とともに減少(劣化)
して行くものです。この特性によって不揮発性メモリとしてのデータ保持能力が決まります。この特
性は温度による加速試験が可能です。この特性は材料によるところが大きく , 設計的には強誘電体
キャパシタに書き込む電圧を最適化することによって改善することができます。当社 FRAM の設計
においては, そのための回路的工夫がなされています。
図2.8 データ保持特性
2) ファティーグ(疲労)特性
ファティーグ(疲労)特性とは, 分極反転を繰り返しているうちに分極量 Q が減少(劣化)してい
くものです。図 2.9 にその様子を示します。図中の横軸(サイクル数)は分極反転回数です。ファ
ティーグ特性は , その動作電圧に強く依存し , 低電圧で動作させるほど , その劣化は緩やかになりま
す。よって, 今後の FRAM デバイスの低電圧化に伴い , ファティーグ特性はさらに向上します。
図2.9 疲労特性
108
106
104
102
100
減少(劣化)
時間 (t)
分極量 (Q)
1081010 1012
106
104
102分極反転回数
疲労劣化
分極量 (Q)